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つながりブログ

のどのイガイガと長引く咳① アトピー咳嗽

2026.06.01 ブログ

西新宿内科つながりクリニックの臼井靖博と申します。
「つながりブログ」をご覧いただき、ありがとうございます。

当院の咳問診に、「咳が出るときにのどの周辺が痒くイガイガするような感覚がありますか」という項目があります。のどの辺りが痒い、イガイガする――これらを「咽喉頭異常感症」といいます。咳がなかなか治らないと、「何か肺や気管支の病気になってしまったのでは」と考える方が多いと思いますが、咽喉頭異常感症がある場合、気管支や肺以外に原因があることが少なくありません。

その一つにアトピー咳嗽(がいそう)という病気があります。一般の方にはあまり馴染みのない名称だと思いますが、「アトピー」とついていることからも分かるように、アレルギーが関係している長引く咳です。アトピー咳嗽の定義は「花粉症などのアレルギー体質を持ち、季節の変わり目や天候の変化で悪化し、夜間を中心とした乾性咳嗽が続く」。一見、喘息と似ています。しかし喘息と違って気管支拡張薬を使用しても咳が止まらないことが特徴です。一方、アレルギーを抑える抗ヒスタミン薬は効果を発揮します。また、継続的な治療の必要がないことも、症状が軽快しても治療を続けることが推奨される喘息との違いです。アトピー咳嗽は、アレルギーの炎症によって咳のセンサーである咳受容体が過敏になり、「のどにじんましんができて、イガイガかゆくて咳が出る」とイメージをしていただくとわかりやすいかと思います。

ただアトピー咳嗽も喘息も、咳受容体が過敏になって咳が出るというメカニズムを共有していること、両者を明確に判定するためには一部の専門施設でしかできない特殊な検査を必要とすることから、実際の診察では確実に区別できない場面にしばしば遭遇します。特に抗ヒスタミン薬があまり効かない患者さんの場合は、喘息と同様に吸入ステロイドを使っていただくので、ステロイドが効いて咳が治った後に、ではこの患者さんは喘息だったのかアトピー咳嗽だったのか、治療の経過から判断するのはなかなか難しいのです。

 私は、地域のクリニックでの咳の治療で大切なことは、診断にこだわることではなく、ある程度の根拠をもって、辛い咳をできる限り早く止めることだと思っています。喘息とアトピー咳嗽は、区別して診断するのが難しいからこそ、呼吸器を専門とする医者にとって、限られた情報のなかで患者さんにとって最善の結果を出す努力を怠っていないか、根拠と納得をもって診断・治療できているかを振り返らせてくれる疾患だと感じています。